この記事のポイント
- 相続とは、亡くなった人の財産や権利・義務を、法律にもとづいて特定の人が引き継ぐ制度のことである。
- 相続には「法定相続」「遺言による相続」「遺産分割協議による相続」の3つの方法があり、優先順位がある。
- 相続手続きには期限があるものも多く、早めに内容を把握して準備を進めることが重要である。
相続(そうぞく)とは、人が亡くなった際に、その人(被相続人)が生前に持っていた財産・権利・義務を、配偶者や子などの特定の人(相続人)が法律の定めに従って引き継ぐ制度のことである。
相続の基本的な意味と仕組み
相続は、民法によって詳細なルールが定められている。亡くなった人を「被相続人」、財産を受け取る側を「相続人」と呼ぶ。相続の対象となるのは、預貯金・不動産・有価証券などのプラスの遺産だけでなく、借金・ローンなどのマイナスの財産(負債)も含まれる。
法定相続人と相続順位
民法では、相続人になれる人の範囲と順番が定められている。これを「法定相続人」という。法定相続人の範囲と順位は以下のとおりである。
- 配偶者:常に相続人となる(順位なし)
- 第1順位:子(子が亡くなっている場合は孫)
- 第2順位:直系尊属(父母・祖父母など)
- 第3順位:兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥・姪)
上位の順位の相続人がいる場合、下位の相続人は相続権を持たない。配偶者は常に相続人となるが、子がいれば子と共に相続し、子がいなければ直系尊属と共に相続する。
相続の3つの方法
相続には、大きく分けて次の3つの方法がある。
- 法定相続:民法の定める割合(法定相続分)に従って財産を分ける方法
- 遺言による相続:被相続人が残した遺言書の内容に従って財産を分ける方法
- 遺産分割協議による相続:相続人全員が話し合いで財産の分け方を決める方法
遺言書がある場合は、原則として遺言の内容が法定相続より優先される。ただし、一定の相続人には最低限の取り分として遺留分が保証されており、遺言の内容がこれを侵害している場合は請求が可能である。
相続の承認と放棄
相続人は、相続を「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3つから選択できる。借金が遺産を上回るケースなど、相続が不利になる場合は、家庭裁判所に申述することで相続を放棄することも可能である。相続放棄は、相続を知った日から3か月以内に手続きをしなければならない。
相続手続きの流れと期限の目安
相続が発生したあと、手続きには法律で定められた期限があるものが多い。主な流れと期限は以下のとおりである。
- 相続開始後7日以内:死亡届の提出
- 3か月以内:相続放棄または限定承認の申述
- 4か月以内:被相続人の所得税の準確定申告
- 10か月以内:相続税の申告・納付
- 1年以内:遺留分侵害額請求の行使(遺留分侵害を知った日から)
特に相続税の申告は10か月以内という期限が定められており、期限を過ぎると延滞税や加算税が発生する。遺産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合は、申告が必要となる。
期限内に遺産分割の話し合いがまとまらない場合は、遺産分割調停を家庭裁判所に申し立てる方法もある。
相続における注意点
遺言書の種類と確認
遺言書には主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」がある。自筆証書遺言は自宅に保管されている場合があるため、故人の書類を丁寧に確認する必要がある。公正証書遺言は公証役場で検索できる。
相続税と生前対策
相続税の負担を軽減するために、生前から家族信託や生前贈与などを活用する方法がある。終活としてエンディングノートに財産の一覧や意向を書き残しておくことも、相続人の負担を減らすうえで有効である。
相続と遺贈の違い
相続は法定相続人が対象であるのに対し、「遺贈」は遺言によって相続人以外の人や団体に財産を渡すことをいう。生前に自分の意思で財産を渡したい相手がいる場合は、遺言書を作成して遺贈という形をとることができる。
関連する用語
相続を理解するうえで、あわせて知っておきたい用語がいくつかある。「遺産」は相続の対象となる財産全体を指す言葉であり、「遺留分」は相続人が最低限受け取れる権利のことである。また、「遺品整理」は相続手続きと並行して行われることが多く、「生前整理」は被相続人自身が生前に財産や荷物を整理しておく取り組みである。「死後事務委任」は、身寄りのない方が専門家などに死後の手続きを依頼する制度で、相続と合わせて検討されることが増えている。

