「もう納骨してしまったのに、分骨できますか」というご相談を、よくいただきます。結論からお伝えすると、あとからでも分骨はできます。ただし、気持ちだけでは進みません。分骨には、必ず「証明書」という書類が必要になります。
これは不幸な話ではありません。むしろ、手順さえ分かれば、迷わず進められる話です。焦らず、一つずつ整理していきましょう。


お墓に納めてしまったお骨を、少しだけ手元に戻したいんです。もう遅いでしょうか。分骨って、火葬のときにしかできないものだと思っていました。
誤解その1|分骨は火葬当日しかできない、という思い込み
分骨は、火葬のときにしかできないと思われがちです。しかし福井市の案内では、分骨のタイミングを二通りに分けて説明しています。
一つは「納骨をする前の焼骨を分骨する場合」で、これは火葬した火葬場のある市区町村が証明書を発行します。もう一つは「納骨をした後に分骨をする場合」で、この場合は現在お骨を納めている墓地等の管理者に問い合わせる、とされています(福井市「分骨証明」2024年1月18日更新)。
つまり、納骨後の分骨という道は、最初から制度として用意されています。「もう納めてしまったから無理」ということではありません。窓口が変わるだけです。
誤解その2|証明書がなくても骨壺を渡せば納められる、という思い込み
もう一つ多いのが、「分骨したお骨を渡せば、それだけで新しい納骨先に納めてもらえる」という誤解です。しかし佐世保市の案内では、墓地等へ納骨する際には「埋火葬許可証」の提出が必要だと明記されています(佐世保市「火葬証明書・分骨証明書・改葬許可証」)。
分骨についても同様で、分骨した焼骨を納骨する際には「分骨証明書」が必要だとされています。骨そのものではなく、骨に添える書類のほうが、納骨の可否を分けているのです。


なぜ書類が必須なのか|法律が管理者に交付を義務づけている
これは慣習ではなく、法律の定めです。墓地、埋葬等に関する法律施行規則の第五条には、次のように書かれています。
「墓地等の管理者は、他の墓地等に焼骨の分骨を埋蔵し、又はその収蔵を委託しようとする者の請求があつたときは、その焼骨の埋蔵又は収蔵の事実を証する書類を、これに交付しなければならない」(墓地、埋葬等に関する法律施行規則第五条第一項)。
続く第二項では、分骨を受け取る側の墓地等の管理者に対して、この書類を提出しなければならないと定めています。つまり、証明書の交付は管理者の義務であり、その提出は分骨を希望する側の義務です。どちらか一方が省略できるものではありません。
さらに第三項では、この規定が火葬場の管理者にも準用されると定められています。読み替えると、火葬場の管理者も同じように、焼骨を火葬した事実を証する書類を交付しなければなりません。つまり、火葬場でも、すでに埋蔵されている墓地でも、証明書を出す責任は管理者側にある、という構造は変わらないのです。



現場で見てきた、書類のやり取り
実際の窓口では、分骨証明申請書のほかに、埋火葬許可証の写しや、続柄が分かる戸籍謄本の写しを求められることがあります。申請者とご遺族が異なる場合は、委任状も必要になることがあります。書類の組み合わせは自治体ごとに少し違うので、まずは今お骨を納めている墓地等か、火葬した市区町村の窓口に、電話で確認するところから始めるとスムーズです。
今できること|どこに問い合わせるかで手順が分かれる
取るべき行動は、お骨が今どこにあるかによって変わります。まだ納骨していないなら、火葬した火葬場のある市区町村に問い合わせます。すでに納骨しているなら、現在の墓地等の管理者に問い合わせます。
手数料についても、確認しておきたい数字があります。福井市の案内では分骨証明書の手数料は300円とされています(福井市「分骨証明」2024年1月18日更新)。佐世保市の案内でも、分骨証明書の発行手数料は1通300円とされています(佐世保市「火葬証明書・分骨証明書・改葬許可証」)。
二つの自治体でいずれも300円という同じ数字が示されています。
なお、佐世保市の案内では、埋火葬許可証を紛失した場合の火葬証明書についても、発行手数料は1通300円とされています。書類の種類によって金額が大きく変わるものではなさそうですが、金額は必ずお住まいの自治体で確認してください。


| 状況 | 問い合わせ先 | 手数料の目安 |
|---|---|---|
| まだ納骨していない焼骨を分骨したい | 火葬した火葬場のある市区町村 | 300円(福井市・佐世保市の例) |
| すでに納骨したお骨を分骨したい | 現在の墓地等の管理者 | 管理者にご確認ください |
| 埋火葬許可証を紛失した | 火葬した市区町村(証明書発行後、死亡届提出先で再発行) | 300円(佐世保市の例) |
よくある質問


書類さえ揃えれば、今からでもできるんですね。少し安心しました。



気持ちより先に、窓口を一本
お気持ちが固まってからで大丈夫です。ただ、書類の手配には少し時間がかかることもあるので、思い立ったタイミングで、まず今の墓地等の管理者か、火葬した市区町村に電話をしてみてください。それだけで、次に何をすればいいかが見えてきます。
まとめ|分骨を分けるのは、気持ちではなく書類
分骨は、心の整理がついたときに、いつでも動き出せる制度です。ただし、動き出すために必要なのは、覚悟ではなく書類です。
墓地等の管理者、または火葬場の管理者に証明書の交付を請求し、それを受け入れ先の管理者に提出する。この二つの手続きさえ踏めば、あとからの分骨も進められます。手数料はおおむね300円という、大きな負担ではない金額です。まずは、今お骨がある場所の管理者に、一本の電話をかけることから始めてみてください。
分骨のあとの供養先や、墓じまい全体の流れについては、下記の記事もあわせてご覧ください。
- 改葬許可申請の実際|墓じまいで最初につまずくのは書類
- 墓じまいの流れと費用|手続き・トラブル回避のポイント
- 永代供養とは?メリット・デメリットと後悔しない選び方
- 海洋散骨は違法?ルールと費用相場、手元供養という選択肢
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お墓・供養そなえ度チェックをはじめる参考・出典
- 厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=79150000&dataType=0&pageNo=1
- 福井市「分骨証明」(2024年1月18日更新)https://www.city.fukui.lg.jp/fukusi/eisei/boti/p025826.html
- 佐世保市「火葬証明書・分骨証明書・改葬許可証」https://www.city.sasebo.lg.jp/hokenhukusi/seikat/kasou-bunkotu-kaisou.html

