エンディングノートを買ってはみたものの、最初のページで手が止まってしまう——そんな声をよく聞きます。
原因のほとんどは「最初から順番に、全部埋めよう」としてしまうことにあります。エンディングノートは書ける項目から埋めていけばいい記録です。この記事では、書くべき項目の一覧と、途中で挫折しないためのコツを整理します。
実は、エンディングノートを持っている人は全体の13.3%——およそ8人に1人しかいません(NPO法人ら・し・さ「終活意識全国調査」)。「大事だと分かっているのに書けない」。その最大の理由が、最初から完璧に埋めようとして手が止まってしまうことです。



【現場で聞いた話】
せっかくエンディングノートを書いていても、ご家族が保管場所を知らず、いざという時に見つけられなかった——そんなケースを何度も見てきました。逆に、たった1ページ「連絡先」と「通帳・保険の在り処」を書いて家族に渡しておくだけで、残された方の負担はまるで変わります。書くことより、伝わることが大切です。
エンディングノートとは?遺言書との違い


エンディングノートは、自分に何かあったときのために、必要な情報や希望を書き残しておくノートです。市販のものも、大学ノートでも構いません。
よく混同されますが、遺言書とは役割がまったく異なります。
| エンディングノート | 遺言書 | |
|---|---|---|
| 法的効力 | なし | あり |
| 書き方の決まり | 自由 | 厳格な様式がある |
| 主な目的 | 情報・気持ちを伝える | 財産の分け方を指定する |
| 書き直し | いつでも自由 | 様式に沿って作り直す |
つまり、財産の分け方を確実に実現したいなら遺言書、それ以外の情報や想いを伝えるならエンディングノート、という使い分けになります。両方を用意しておくのが理想です。
エンディングノートに書く項目一覧
何を書けばいいか迷ったら、次の6分野を目安にしてください。
1. 自分自身の基本情報
- 氏名、生年月日、本籍地
- マイナンバーや保険証などの保管場所(番号そのものは書かない)
- 血液型、既往症、常用している薬
2. 資産・お金のこと
- 預貯金のある金融機関名と支店名(暗証番号は書かない)
- 不動産、有価証券、貴金属など
- 加入している生命保険・医療保険
- 借入金やローン、保証人になっている契約
ここで重要なのは、暗証番号やパスワードそのものは書かないことです。ノートを紛失したときのリスクが大きすぎます。「どこに何があるか」だけを記録し、番号類は別の安全な場所で管理してください。
3. 医療・介護の希望
- 延命治療を希望するか
- 告知を希望するか
- 介護が必要になったときの希望(自宅か施設か)
- 判断力が低下したときに判断を任せたい人
4. 葬儀・お墓の希望
5. 家族・友人への連絡先
訃報を知らせてほしい人のリストは、遺された家族が最も困る部分です。名前と連絡先、自分との関係を一覧にしておくと、家族の負担が大きく減ります。
6. デジタル情報
- 契約しているサブスクリプションサービス
- SNSアカウントと、死後にどうしてほしいか
- スマートフォンやパソコンの扱いの希望



現場で多かったのは「故人のスマホが開けず、連絡先も写真も取り出せない」というご相談です。デジタルの引き継ぎは、いま最も見落とされがちな項目です。


POINT|迷ったら「家族が困る順」に書く
6分野を頭から順に埋める必要はありません。残されたご家族が最も困るのは「①連絡先リスト」「②通帳・保険・重要書類の在り処」「③スマホのロックとデジタル情報」の3つです。まずこの3ページだけ書いて家族に伝えれば、エンディングノートの役割の大半は果たせます。完璧をめざすより、効くページから埋めるのが挫折しないコツです。
挫折しないための書き方のコツ
- 順番どおりに書かない:書けるページから埋める
- 鉛筆や消せるペンで書く:気が変わったら直せばいい
- 一度に完成させない:年に1回見直す前提でよい
- 保管場所を家族に伝える:これが最も大切
どれだけ丁寧に書いても、その存在を家族が知らなければ意味がありません。書き終えたら「引き出しの中にノートがある」とひと言伝えておきましょう。
よくある質問
エンディングノートは市販のものを買うべきですか?
市販品は項目が整理されていて書きやすい利点があります。ただ普通のノートでも十分です。大切なのは形式より、書いて家族に伝えることです。
書いた内容は家族に見せるべきですか?
全部を見せる必要はありませんが、存在と保管場所は必ず伝えてください。医療や葬儀の希望は、事前に共有しておくと実現されやすくなります。
一度書いたら書き直せませんか?
いつでも自由に書き直せます。財産や連絡先は変わるものなので、年に1回など定期的な見直しをおすすめします。
書く優先順位マップ|「家族が助かる度」で選ぶ
| 優先度 | 書く項目 | 家族が助かる度 |
|---|---|---|
| まず書く | 連絡先リスト/通帳・保険・重要書類の在り処 | ◎ 非常に高い |
| 次に書く | スマホ・SNS・サブスクなどデジタル情報 | ◎ 高い |
| 次に書く | 医療・介護の希望/葬儀・お墓の希望 | ○ 高い |
| 余裕があれば | 基本情報/自分史・想いのメッセージ | △ ゆっくりで可 |
まとめ|完璧より「伝わること」を優先する
エンディングノートは、完璧に埋めることがゴールではありません。書ける項目から少しずつ埋め、保管場所を家族に伝える——それだけで、遺された人の負担は大きく変わります。まずは連絡先リストや医療の希望など、書きやすいページから始めてみてください。
関連ページ:終活全体の進め方は終活は何から始める?優先順位と最初の3ステップで解説しています。用語の詳細はエンディングノートもご覧ください。
参考・出典
- NPO法人ら・し・さ「終活意識全国調査」(エンディングノート所持率13.3%)
- デジタル遺品に関する各種調査(2026年):遺族の約5人に1人が故人のスマホのロックを解除できず中身の確認を断念、との報告あり

