この記事のポイント
- 枕飾りは、故人が亡くなってから通夜までの間、遺体の枕元に設ける小さな祭壇である
- 宗教・宗派によって飾る品物や配置が異なるため、事前に確認しておくことが大切である
- 枕飾りの準備は葬儀社が行うことが多いが、基本的な構成を知っておくと安心して任せられる
枕飾りの基本と役割
枕飾りを設ける目的
枕飾りは、故人の死後すみやかに設けられる、最初の祭壇である。仏教の観点では、亡くなってから四十九日が明けるまでの間、故人の魂はこの世にとどまると考えられている。その魂を守護し、安らかに成仏できるよう祈るための場が枕飾りである。
また、枕飾りには弔問客が到着した際にお参りする場所としての役割もある。遺族にとっても、故人と最後の時間をともに過ごすための大切な空間となる。
仏式の枕飾りに必要なもの
日本の葬儀の多くは仏式で行われる。仏式の枕飾りに用意する主な品物は以下のとおりである。
- 枕屏風(まくらびょうぶ):故人の頭部を囲むように立てる小型の屏風
- 白布:テーブルや台の上に敷く白い布
- 香炉・線香立て:継続的に線香を焚くために使用する
- 燭台・ろうそく:明かりを灯し、故人の魂を照らす
- 花立て・生花:白い花(菊や樒など)を飾る
- 一膳飯(いちぜんめし):茶碗に箸を立てて盛ったご飯
- 枕団子:小さな白い団子
- 水(水の子):故人の渇きを癒すための供え物
これらは宗派によって内容が異なる場合がある。浄土真宗では一膳飯や枕団子を用いないなど、宗派独自のルールがあるため、菩提寺や葬儀社に確認することが重要である。
神式・キリスト教式の枕飾り
神道の場合、枕飾りは「枕直しの儀(まくらなおしのぎ)」と呼ばれる儀式に基づいて設けられる。白木の台の上に神饌(しんせん)と呼ばれる神への供え物を並べ、榊(さかき)を飾るのが基本である。線香やろうそくは使わず、代わりに玉串を用いることが多い。
キリスト教式の場合は、十字架・ろうそく・生花(白い花)・聖書などを枕元に飾る。仏式のような一膳飯や枕団子は用いない。宗教によって枕飾りの内容は大きく異なるため、故人の信仰に合わせて準備することが大切である。
枕飾りを設ける場所とタイミング
枕飾りは、故人が安置された部屋の枕元(頭部側)に設ける。自宅安置の場合は故人の布団の頭側、葬儀社の安置施設の場合は専用のスペースに設置する。設置するタイミングは、ご遺体の安置が完了した直後が目安である。
枕飾りは通夜の開始とともに役目を終え、祭壇が設けられた段階で撤去されるのが一般的である。通夜・告別式を通じて使われる本祭壇とは別のものであることを覚えておきたい。
枕飾りの費用と準備の注意点
費用の目安
枕飾りの費用は、葬儀一式の費用に含まれていることが多い。単独で請求される場合の相場は、5,000円〜3万円程度である。内容や品質、地域によって差があるため、葬儀社への見積もり時に枕飾りが含まれているか確認するとよい。
自分で用意する場合は、仏具店やホームセンターで必要な品を個別に揃えることも可能である。ただし、品数が多く短時間での準備が必要なため、緊急時は葬儀社に一任するほうが現実的である。
準備する際の注意点
- 宗派を事前に確認し、不要な品を飾らないようにする(特に浄土真宗は独自ルールが多い)
- 線香は24時間絶やさないことが本来の慣習だが、近年は安全上の理由から電子線香を用いる場合もある
- 枕飾りのろうそくや線香を放置すると火災の危険があるため、就寝時などは注意が必要である
- 遺影は枕飾りの段階では必須ではないが、用意できている場合は近くに飾ることもある
- 故人の頭の向きは「北枕」が伝統的だが、部屋の構造上難しい場合は西向きでもよいとされる
関連する用語
枕飾りと合わせて知っておきたい用語として、遺体を棺に移す儀式である納棺、故人に着せる白装束を指す死装束、通夜・告別式で用いられる祭壇、そして故人の旅立ちの前に行われる死化粧などがある。枕飾りはこれらの儀式と連続して行われるものであり、葬儀全体の流れの中で理解しておくことが大切である。

