この記事のポイント
- 安置とは、ご遺体を葬儀までの間、適切な場所に安らかに置くことをいう。
- 安置の場所は「自宅」「葬儀社の安置室」「斎場」の3種類から選ぶのが一般的。
- 安置中はドライアイスや保冷設備でご遺体を適切に保全し、腐敗を防ぐ処置が必要となる。
安置(あんち)とは、亡くなった方のご遺体を、葬儀・火葬が行われるまでの間、適切な場所に安らかに安置しておくことをいう。病院や施設で亡くなった場合、ご遺体はそのまま長時間置いておくことができないため、速やかに安置場所へ移送する必要がある。安置は葬儀の準備を整えるうえで、最初に行われる重要なステップである。
安置について詳しく知る
安置が必要な理由
病院で亡くなった場合、ご遺体は原則として数時間以内に病院から搬出しなければならない。病院の安置室は一時的な預かりを目的としており、長期間の利用はできない。
ご遺体は亡くなった直後から腐敗が始まるため、適切な温度管理と保全処置が欠かせない。葬儀の日程が決まるまでの間、安置によってご遺体を安全に保つことが必要となる。
安置場所の種類
安置場所は大きく3種類に分けられる。それぞれの特徴を理解したうえで、ご家族の状況に合わせて選ぶことが大切だ。
- 自宅安置:ご遺体を自宅に搬送して安置する方法。故人が慣れ親しんだ場所で安置できるため、ご家族がそばに付き添いやすい。ただし、住宅の構造や近隣の状況によっては難しい場合もある。
- 葬儀社の安置室(霊安室):葬儀社が管理する専用の安置室に預ける方法。温度管理が整っており、ご遺体の保全状態が安定している。自宅安置が難しい方に多く選ばれている。
- 斎場・式場の安置室:葬儀を行う斎場や式場に付属した安置室を利用する方法。葬儀までの移送が最小限で済み、手続きがスムーズに進む利点がある。
安置中の保全処置
安置中は、ご遺体の腐敗を防ぐためにドライアイスを使った冷却処置が行われる。ドライアイスはご遺体の腹部・胸部を中心に当てるのが基本で、状況に応じて毎日交換が必要となる。
近年では、エンバーミング(遺体衛生保全)と呼ばれる専門的な処置を選ぶケースも増えている。エンバーミングはご遺体に防腐処理を施す技術で、長期間の安置や海外からの遺体搬送の際に有効な手段とされている。
安置から葬儀までの流れ
安置後の一般的な流れは以下のとおりである。
- ご逝去の確認・死亡診断書の受け取り
- 葬儀社への連絡・搬送の手配
- 安置場所への移送と保全処置の実施
- 葬儀の日程・内容の打ち合わせ
- 通夜・葬儀・告別式の実施
- 火葬・収骨
安置期間は、葬儀の日程調整や関係者の都合により異なるが、一般的には1日〜4日程度となる場合が多い。
安置にかかる費用と注意点
安置にかかる費用の目安
安置にかかる費用は、安置場所や期間によって異なる。主な費用の目安は以下のとおりだ。
- 搬送費用:病院から安置場所までの搬送には、距離に応じた費用がかかる。目安は1万円〜3万円程度。
- 安置室の使用料:葬儀社や斎場の安置室を利用する場合、1日あたり5,000円〜1万5,000円程度が相場となる。
- ドライアイス代:1日あたり3,000円〜5,000円程度。安置日数が長くなるほど費用が増える。
- エンバーミング費用:施術内容によって異なるが、10万円〜20万円程度が一般的な目安となる。
安置の際に気をつけること
安置場所を選ぶ際には、葬儀社との契約内容をしっかり確認することが大切だ。安置料が葬儀費用のセットに含まれているか、別途請求されるかによって、総費用が大きく変わる場合がある。
また、自宅安置を希望する場合は、搬送経路や部屋のスペース、夏場の室温管理なども事前に確認しておく必要がある。搬送前に葬儀社の担当者と相談しながら進めることを勧める。
関連する用語
安置と深く関わる用語として、「納棺(のうかん)」「エンバーミング」「搬送」「湯灌(ゆかん)」などがある。納棺はご遺体を棺に納める儀式で、安置期間を経てから行われることが多い。また、湯灌はご遺体を清める儀式であり、安置中または納棺前に実施される場合がある。これらの用語を合わせて理解しておくと、葬儀全体の流れが把握しやすくなる。

