この記事のポイント
- 納棺とは、故人の遺体を棺に納める儀式で、葬儀の中でも特に重要な意味をもつ。
- 納棺は通夜の前に行われ、専門の納棺師が担当することが多い。
- 故人の身支度を整える「湯灌」や「死化粧」も、納棺の一連の流れに含まれる。
納棺(のうかん)とは、故人の遺体を棺に納める儀式のことを指す。単に遺体を棺に入れる作業ではなく、故人の旅立ちを家族とともに見守る、葬儀における大切な通過儀礼のひとつである。
納棺の意味と流れ
納棺の意味
納棺は、故人がこの世から旅立つための準備を整える儀式である。遺族が故人の身体に直接触れ、身支度を整えることで、死を受け入れ、別れを実感する機会にもなる。
宗教や地域によって作法は異なるが、日本では仏式が多く、故人を浄土へ送り出す意味合いが込められている。
納棺までの主な流れ
納棺は、安置された遺体に対して行われる。一般的な流れは以下のとおりである。
- 湯灌(ゆかん):お湯で遺体を洗い清める。
- 死化粧:生前の顔立ちに近づけるよう化粧を施す。
- 死装束の着せ替え:仏式では白い経帷子を着せることが多い。
- 副葬品の用意:故人が好きだったものや思い出の品を棺に入れる。
- 納棺:遺体を棺に納め、蓋をする。
これらの手順は、葬儀社のスタッフや専門の納棺師が中心となって進める。遺族も手を添えて参加するのが一般的である。
納棺師の役割
納棺師は、遺体の処置から着替え・化粧・納棺までを専門的に担う職業である。映画「おくりびと」で広く知られるようになった。
納棺師は、故人の尊厳を守りながら丁寧に作業を行う。遺族の悲しみに寄り添いながら儀式を進める、精神的なサポートの役割も担っている。
湯灌とエンバーミング
湯灌は、遺体をお湯で清める日本古来の慣習である。近年では「湯灌師」と呼ばれる専門家が担当することも多い。
一方、遺体の防腐・保全を目的とした「エンバーミング」という処置もある。海外から遺体を搬送する場合や、葬儀まで日数がかかる場合に選択されることがある。
納棺の費用と時期の目安
実施の時期
納棺は通常、通夜の当日、または前日に行われる。故人が亡くなってから24時間以上経過した後に実施するのが一般的である。
葬儀のスケジュールに合わせて、葬儀社が適切なタイミングを調整してくれる。
費用の目安
納棺に関わる費用は、葬儀社のプランに含まれている場合と、オプションとして別途かかる場合がある。主な費用の目安は以下のとおりである。
- 基本的な納棺作業:葬儀プランに含まれることが多い。
- 湯灌サービス:5万〜15万円程度が目安。
- エンバーミング:10万〜20万円程度が目安。
- 死化粧(専門的なもの):2万〜5万円程度が目安。
費用はサービスの内容や地域によって大きく異なる。事前に葬儀社へ確認し、内訳を把握しておくことが重要である。
納棺時の注意点
棺に入れる副葬品には制限がある。火葬の妨げになるものや、有害ガスを発生させるものは入れられない。具体的には以下のものが代表例として挙げられる。
- 金属製品(アクセサリー・眼鏡のフレームなど)
- 厚みのある書籍や大量の紙類
- プラスチック・ビニール製品
- ガラス製品・陶器類
副葬品として入れたいものがある場合は、事前に葬儀社へ相談することを勧める。
関連する用語
納棺と合わせて知っておきたい用語として、出棺・火葬・骨上げがある。これらは納棺の後に続く葬儀の流れを構成する重要な儀式である。また、故人の旅立ちの装いに関わる死装束や、祭壇についても理解しておくと、葬儀全体の流れをよりスムーズに把握できる。

