この記事のポイント
- 棺は故人を納めて火葬・埋葬するための容器で、素材や形状によってさまざまな種類がある
- 棺の費用は素材・デザインによって大きく異なり、数万円から数十万円の幅がある
- 棺への副葬品には入れられるものと入れられないものがあり、事前に確認が必要
棺(かん)とは、故人のご遺体を納めて火葬または埋葬するための容器のことである。「ひつぎ」とも読み、日本の葬儀では欠かせない道具のひとつだ。棺は安置から出棺・火葬まで、故人とともに旅をする大切な器として位置づけられている。
棺の種類と特徴
棺には素材・形状・デザインの違いによって複数の種類がある。それぞれの特徴を把握したうえで、故人の希望や家族の意向、予算に合ったものを選ぶことが大切だ。
素材による分類
日本でもっとも広く使われているのは木製の棺である。木の種類によって価格や質感が異なり、主に以下のものが流通している。
- 桐製:軽量で加工しやすく、比較的リーズナブル。国産棺の定番素材
- ポプラ製:桐に近い軽さと白さを持ち、コストパフォーマンスに優れる
- 合板製:複数の木材を貼り合わせたもので、強度があり価格帯も幅広い
- ヒノキ・スギ製:国産の高級木材を使用したもので、香りや風合いが特徴的
また、近年はエコロジーの観点から、段ボール製や植物由来の素材を用いた棺も登場している。環境負荷が低く、火葬時の煙や灰が少ないという利点がある。
形状・デザインによる分類
棺の形状は、大きく「箱型」と「胴張型」に分けられる。箱型は四角い直方体の形で、シンプルかつ搬送しやすい。胴張型は中央部分が膨らんだ形状で、故人がゆったりと納まるよう設計されている。
デザイン面では、白木のシンプルなものから、彫刻や蒔絵が施された豪華な仕様まで多様だ。最近は花柄や故人の好きなデザインをプリントできる「プリント棺」も選ばれるようになっている。故人らしさを表現できる手段として注目されている。
棺に入れられるもの・入れられないもの
棺の中には「副葬品」として、故人が生前に好んだものや思い出の品を入れることができる。しかし、火葬場の規定により、入れられないものも多い。
入れてよい主な副葬品は以下のとおりである。
- 燃えやすい素材の衣類・布製品
- 紙製の手紙・書籍・写真(少量)
- 生花・ドライフラワー(少量)
- 木製や紙製の小物
一方、入れてはいけないものは以下のとおりだ。
- 金属製品(釘・装飾品・眼鏡のフレームなど)
- ガラス製品・陶磁器
- ゴム・プラスチック・ビニール類
- 爆発や有毒ガスの発生リスクがあるもの(スプレー缶など)
- 分厚い書籍や大量の紙類
副葬品は火葬の妨げになるだけでなく、炉の損傷や遺骨への影響につながる場合もある。必ず葬儀社や火葬場に事前確認することを強くすすめる。
棺の費用と選び方の注意点
費用の目安
棺の価格は素材・デザイン・サイズによって大きく変わる。一般的な相場は以下のとおりだ。
- シンプルな合板・ポプラ製:3万〜8万円程度
- 桐製・中級グレード:8万〜15万円程度
- ヒノキ・彫刻入りの高級品:15万〜40万円以上
- プリント棺・デザイン棺:10万〜25万円程度
葬儀プランに棺が含まれている場合は、どのグレードの棺が含まれているのかを事前に確認することが重要だ。追加費用が発生する場合もあるため、見積もり段階で明確にしておく必要がある。
選ぶ際の注意点
棺を選ぶ際には、以下の点に注意してほしい。
- 故人の体格に合ったサイズを選ぶ(標準・大きめなどの規格がある)
- 火葬場の炉のサイズ制限を事前に確認する
- 葬儀プランに含まれる棺のグレードを明確にする
- 環境への配慮が必要な場合は素材を考慮する
棺は故人が最後に身を置く場所である。価格だけでなく、故人の人柄や家族の想いに合ったものを選ぶ視点を大切にしてほしい。
関連する用語
棺に関連する用語として、まず「家族葬」や「一般葬」といった葬儀の形式が挙げられる。葬儀の規模によって棺の選び方や演出も変わってくる。また、火葬後に残る「遺骨」の扱いや、「戒名」など、棺の中に記す名前に関連する知識も合わせて確認しておくとよいだろう。さらに、小規模葬儀として近年増えている「一日葬」でも棺の選択は重要な要素のひとつである。
