ペットが亡くなったあと、「人と同じように火葬してお骨を一緒にしたい」と考える方は多いと思います。
ですが、ペットの火葬は人の火葬とは根拠となる制度がまったく違います。同じ「市営」でも、住んでいる市によって料金もお骨の扱いも大きく異なります。
これは不幸な話ではありません。知らずに窓口へ行って戸惑う前に、制度の形を先に知っておけば、気持ちの整理にもつながります。


市営の火葬場なら、うちの猫も人と同じようにお骨にして返してもらえますよね。
誤解その1|「人と同じ法律で守られている」は違う
人の火葬は、墓地埋葬法という法律の対象になっています。火葬の方法や埋葬の手続きが、この法律で定められています。
しかし、ペットはこの法律の対象ではありません。法律上、ペットの死体は「物」として扱われる場面があり、火葬の方法や料金、お骨の返却の有無は、それぞれの自治体が独自に定めています。
つまり、「市営だから人と同じ扱いをしてもらえる」という前提自体が、そもそも成り立ちません。
誤解その2|「市営なら、どこも同じ運用」は違う
岐阜市斎苑では、ペットの火葬は個別ではなく合同です。火葬後のお骨は返してもらえません(岐阜市公式ホームページ)。
料金は、飼い主が岐阜市民であれば1頭につき2,000円、岐阜市民以外であれば1頭につき27,000円です(岐阜市公式ホームページ)。この差は13倍を超えます。
広島市の永安館・五日市火葬場・西風館の3施設では、ペット(小動物)の死体は冷蔵保管のうえ合同で火葬され、立ち会うことはできません。お骨の持ち帰りもできません(広島市公式ウェブサイト)。
料金は、鳩と同等大(500グラム)以下の「小」が1体につき4,480円、それ以外の「大」が1体につき9,000円です(広島市公式ウェブサイト)。
一方、横浜市の戸塚斎場には個別火葬があります。対象は横浜市民に限られます(横浜市公式ウェブサイト)。個別火葬の料金は重量によって区分され、1キログラム未満は10,000円から、25キログラム以上50キログラム未満までは30,000円です(横浜市公式ウェブサイト)。
個別火葬を選んだ場合、火葬後の焼骨は骨壺に納められて全て持ち帰ることができます(横浜市公式ウェブサイト)。


なぜここまで違うのか|ペットの火葬には「全国共通の型」がない
人の火葬には墓地埋葬法という共通の根拠があります。しかし、ペットの火葬にはそれに相当する全国共通の法律がありません。
そのため、火葬を個別にするか合同にするか、焼骨を返すかどうか、市内と市外で料金を分けるかどうかは、すべて自治体ごとの判断になります。
岐阜市斎苑は、市民と市民以外で料金を大きく分けつつ、個別火葬自体を行っていません。広島市の3施設は、料金差こそ市内外で設けていませんが、立ち会いと持ち帰りを認めていません。横浜市は、市民に限定したうえで個別火葬を用意し、焼骨を返す仕組みにしています。
この違いは、どこかが間違っているという話ではありません。自治体ごとに、火葬炉の設備、職員体制、衛生管理の考え方が異なるため、運用の形も変わります。
図:市営火葬場3市の運用比較
| 項目 | 岐阜市斎苑 | 広島市3施設 | 横浜市戸塚斎場 |
|---|---|---|---|
| 火葬の形 | 合同のみ | 合同のみ | 個別と合同の両方 |
| 料金 | 市民2,000円/市民以外27,000円 | 小4,480円/大9,000円 | 個別1kg未満10,000円〜 |
| 焼骨の返却 | 不可 | 不可 | 個別は全て持ち帰り |
| 利用対象 | 市民・市民以外とも可 | 記載なし | 横浜市民に限る |
出典:岐阜市公式ホームページ、広島市公式ウェブサイト、横浜市公式ウェブサイト(各本文参照)



見落とされやすいのは「立ち会い」と「持ち帰り」の違い
料金ばかりに目がいきがちですが、実は立ち会いができるかどうか、お骨を持ち帰れるかどうかのほうが、あとで気持ちに影響しやすい部分です。
合同火葬の自治体では、立ち会いも持ち帰りもできない場合があります。申し込む前に、この2点だけは必ず確認しておくことをおすすめします。
申し込む前に確かめておきたいこと
お住まいの市区町村が、ペットの火葬をどこで受け付けているかは、まず市区町村の公式ホームページで確認します。市営の火葬場が対応していない場合もあります。
利用対象が市民に限られているか、市民以外でも利用できるかは、自治体によって異なります。市外に住んでいる場合は、料金が大きく変わることがあるため、事前の確認が欠かせません。
個別火葬を希望する場合は、その自治体が個別火葬に対応しているかどうかを確かめる必要があります。対応していない場合、どれだけ希望してもお骨は返ってきません。
持ち込み方法や副葬品の制限も、自治体ごとに細かく定められています。段ボールのサイズや、入れてはいけないもの(首輪、プラスチック製品、化学繊維の布など)は、事前に確認しておくと当日に慌てずにすみます。
図:申し込み前の確認リスト
- お住まいの市区町村の火葬場が、ペットの火葬に対応しているか
- 利用対象が市民限定か、市外の人も利用できるか
- 個別火葬があるか、合同火葬のみか
- 火葬後の焼骨を持ち帰れるかどうか
- 立ち会いができるかどうか
- 持ち込み方法・段ボールのサイズ・副葬品の制限
よくある質問


うちの市がどんな扱いなのか、調べてみないと分からないんですね。



まずは公式ホームページの確認から
そうなんです。お住まいの市区町村の公式ホームページで、ペット火葬のページを探してみてください。
料金、個別か合同か、持ち帰りの可否がひと通り書かれているはずです。分からない点は、電話で窓口に聞いてしまうのが一番早いですよ。
まとめ|市営だからこそ、自治体ごとの違いを確かめる
ペットの火葬は、人の火葬を定める墓地埋葬法の対象外です。そのため、料金も、個別か合同か、焼骨を返すかどうかも、自治体ごとにまったく異なります。
岐阜市斎苑、広島市の3施設、横浜市の戸塚斎場を見るだけでも、運用の幅がどれほど大きいかが分かります。
お住まいの市区町村がどの形を取っているかを、申し込む前に確認すること。それが、あとで気持ちの整理をつけるための、いちばん確実な一歩になります。
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お墓・供養そなえ度チェックをはじめる参考・出典
- 岐阜市公式ホームページ「動物(ペット)の火葬」 https://www.city.gifu.lg.jp/kurashi/seikatukankyo/1002886/1002888/1002895.html
- 広島市公式ウェブサイト「市営火葬場でのペットの火葬」 https://www.city.hiroshima.lg.jp/living/owaka/1021362/1023039.html
- 横浜市公式ウェブサイト「ペット火葬のご案内」 https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/saijo/saijo/petto.html

