流産や死産は、不幸な出来事であると同時に、心の整理がまったく追いつかないまま手続きに直面する出来事でもあります。
ここでお伝えするのは、悲しみを整理する話ではありません。期限がある手続きが、ひとつだけあるという話です。
先に期限だけ知っておけば、あとで慌てずにすみます。順を追って整理します。


まだ気持ちの整理がつかないのに、役所に書類を出さなければいけないのでしょうか。何日くらい猶予があるのか、それもわかりません。
誤解その1|「死産届は戸籍に残る届出」ではない
死産届という名前から、出生届のように戸籍に記載されるものだと考える方がいます。しかし大阪市のページには「死産届を出されても戸籍には記載されません」とはっきり書かれています(大阪市「死産届」)。
死産届の目的は戸籍の記録ではなく、埋火葬の許可を得ることにあります。届出が受理されると、死胎を火葬するための許可証が交付されます(大阪市「死産届」、船橋市「死産届」)。
船橋市のページでは、この許可証について「火葬場の名称を記載しますので、火葬場をご予約の上でお越しください」と案内されています(船橋市「死産届」)。つまり届出と火葬場の予約は、順番としてセットで考える必要があります。
誤解その2|「妊娠週数にかかわらず必要」ではない
死産届が必要になるのは、妊娠満12週(妊娠85日)以降の流産・死産に限られます。世田谷区のページでは「妊娠満12週以降(妊娠85日以上)に流産または死産した場合は、7日以内に届出人の所在地、または死産があった場所の市区町村に死産届の届出が必要となります」とされています(世田谷区「流産・死産などでお子さんを亡くされたご家族へ」)。
大阪市と船橋市のページでも、同じく妊娠第12週以降の死産が対象であることが書かれています(大阪市「死産届」、船橋市「死産届」)。それより前の時期の流産については、この届出の対象になりません。


届出先は、届出人の所在地、または死産があった場所のいずれかの市区町村役所です(大阪市「死産届」、船橋市「死産届」)。どちらに出すかは状況によって選べますが、窓口の開庁時間や受付方法は自治体によって異なります。事前に確認しておくと安心です。
なぜ7日以内なのか|届出人の順序という構造
届出期間は、死産があった日から7日以内と定められています(大阪市「死産届」、船橋市「死産届」)。この期限は死亡届のような一般の戸籍届出と同じ考え方に基づき、死産という事実が起きてから速やかに手続きを行うことを前提にしています。
届出人になるのは、父母が婚姻中であれば父、婚姻していなければ母です(船橋市「死産届」)。大阪市のページでも「婚姻している場合は父(やむを得ないときは母)、未婚の場合は母」と同じ内容が示されています(大阪市「死産届」)。
父が届出できないやむを得ない事由がある場合は、母が届出することも可能です(船橋市「死産届」)。さらに大阪市のページでは、やむを得ない事由があるときの順序として、同居者、死産に立ち会った医師、死産に立ち会った助産師、その他の立会人の順に届出義務が移るとされています(大阪市「死産届」)。
このように順序が細かく定められているのは、父母のどちらかが届出できない状況があっても、埋火葬許可証の交付が滞らないようにするためです。必要な書類は、死産届書と、病院等から発行される死産証書(死胎検案書)です。
これらは一体になった様式で、医師または助産師が記載します(大阪市「死産届」、船橋市「死産届」)。



見落とされやすい点
死産届は、死産届書と死産証書(死胎検案書)が一体の様式になっています。病院での記載を待つ時間があるため、7日という期限は実質的にもっと短く感じられることがあります。
また船橋市のように、死産児を胎児認知している場合は、認知届を出した市区町村にも14日以内に別途届出が必要になることがあります(船橋市「死産届」)。該当する場合は、窓口で合わせて確認しておくと手戻りがありません。
具体策|今すぐ確認したい3つのこと
まず届出人が誰にあたるかを確認します。婚姻の有無によって父か母かが決まり、事情があれば同居者や医師・助産師に移ることもあります(大阪市「死産届」、船橋市「死産届」)。
次に、死産があった日から7日以内という期限を確認します。休日や時間外の受付の有無は自治体によって異なるため、宿日直で受け付ける窓口があるかどうかを事前に調べておくと安心です(大阪市「死産届」)。
最後に、火葬場の予約です。死産届が受理されると死胎(埋)火葬許可証が交付されますが、許可証には火葬場の名称が記載されるため、火葬場の予約を済ませてから窓口に行く必要がある自治体もあります(船橋市「死産届」)。この順番を知らずに窓口へ行くと、二度手間になることがあります。
届出場所についても、届出人の所在地か死産があった場所の市区町村かを選べます(大阪市「死産届」、船橋市「死産届」)。どちらが都合よいかは状況によって異なるため、迷う場合は窓口に電話で相談してから出向くとよいでしょう。
図:死産届の手続きの流れ
| 1. 死産証書の受け取り | 病院等で医師または助産師が死産証書(死胎検案書)を記載 |
| 2. 届出人の確認 | 婚姻中なら父、未婚なら母。事情があれば同居者等に順次移る |
| 3. 火葬場の予約 | 許可証に火葬場の名称を記載するため、先に予約が必要な自治体がある |
| 4. 窓口へ届出 | 死産があった日から7日以内に、届出人の所在地か死産があった場所の市区町村へ |
| 5. 許可証の交付 | 死胎(埋)火葬許可証が交付され、火葬へ進める |
よくある質問


届出人や期限のことはわかりました。でも窓口で何を聞けばいいのか、まだ不安です。



窓口に聞くことは3つだけ
届出人は誰になるか、受付時間や休日の対応はあるか、火葬場の予約は先に済ませるべきか。この3つを電話で確認してから窓口に向かえば、二度手間になりにくいと思います。
まとめ|悲しみの中でも、期限だけは先に知っておく
妊娠満12週以降の流産・死産には、死産があった日から7日以内という届出期限があります。届出人は、婚姻中であれば父、婚姻していなければ母です。
届出により死胎(埋)火葬許可証が交付され、火葬へ進むことができます。戸籍には記載されないこと、火葬場の予約が先に必要な場合があることも、あわせて知っておくと手続きが滞りません。
悲しみのただ中で手続きの話をするのは、本来は酷なことです。それでも期限があるという一点だけは、先に知っておいていただきたいと思います。
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葬儀そなえ度チェックをはじめる参考・出典
- 大阪市「死産届」 https://www.city.osaka.lg.jp/shimin/page/0000369833.html
- 船橋市「死産届」 https://www.city.funabashi.lg.jp/kurashi/koseki/001/p097472.html
- 世田谷区「流産・死産などでお子さんを亡くされたご家族へ」 https://www.city.setagaya.lg.jp/02244/online_tetsuzuki/10721.html

