目次
この記事のポイント
- 特定空家とは、倒壊の危険や衛生上の問題など、周囲に悪影響を及ぼす空き家として行政から指定された物件のことをいう。
- 特定空家に指定されると、行政から指導・勧告・命令・代執行という段階的な措置を受け、固定資産税の優遇も失われる。
- 終活として自宅の状態を把握し、相続人と管理方針を話し合っておくことが、特定空家問題を未然に防ぐうえで最も有効な対策になる。
特定空家とはどのような状態の空き家か
法律上の4つの判断基準
空家特措法では、以下の4つの要件のいずれかに該当する空き家を特定空家として指定できると定めている。- そのまま放置すれば倒壊するなど、保安上の危険がある状態
- 著しく衛生上有害となるおそれがある状態(ゴミの不法投棄や害虫の発生など)
- 適切な管理が行われていないことにより、著しく景観を損なっている状態
- その他、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態
特定空家になるまでの流れ
特定空家への指定は、以下の手順で進む。- 市区町村が現地調査を行い、空き家の状態を確認する
- 所有者や被相続人の相続人を特定し、管理状況を確認する
- 空家等対策審議会などへの意見聴取を経て、特定空家として指定する
- 指定後、所有者に対して「指導→勧告→命令→代執行」の段階的措置を講じる
特定空家に指定されると何が起きるか
固定資産税の優遇措置が外れる
日本では、住宅が建っている土地に対して固定資産税の「住宅用地特例」が適用され、200㎡以下の部分は評価額が6分の1に軽減される。 しかし特定空家に指定されると、この優遇措置が撤廃される。その結果、固定資産税が最大で6倍に跳ね上がるケースがある。行政による段階的な強制措置
指定後の措置は段階を追って強化される。- 指導:適切な管理・改善を求める行政指導が行われる
- 勧告:指導に従わない場合、正式な勧告が文書で送付される
- 命令:勧告にも従わない場合、法的拘束力のある命令が下される(違反には50万円以下の過料)
- 代執行:命令にも応じない場合、行政が強制的に解体・修繕を行い、その費用を所有者に請求する
終活における注意点と対策
空き家問題は相続の問題でもある
特定空家の問題は、所有者本人が亡くなったあとに深刻化するケースが多い。遺産として不動産を受け取った相続人が、遠方に住んでいて管理できない、または相続人同士で揉めて放置されるといった状況が典型的なパターンである。 相続放棄をすれば所有権は消えるが、管理義務が完全に消滅するわけではない点にも注意が必要だ。生前にとれる具体的な対策
終活の一環として、以下の対策を早めに検討することが重要である。- 生前整理を行い、不要な家財・荷物を処分して不動産の価値を維持する
- エンディングノートや遺言に自宅の処分方針を明記しておく
- 家族信託を活用して、認知症になる前に管理・処分の権限を信頼できる人に委ねる
- 売却・賃貸・解体といった具体的な活用策を相続人と話し合っておく
- 相続登記を速やかに行い、所有者不明状態を防ぐ(2024年4月から義務化)
費用面での目安
特定空家への対応にかかる費用は、物件の状態や規模によって大きく異なる。 行政代執行になってから動くよりも、自主的に対処するほうが費用を大幅に抑えられる。関連する用語
特定空家を理解するうえでは、関連する用語も合わせて把握しておくと役立つ。まず、空き家は特定空家の前段階にあたる概念であり、すべての空き家が特定空家になるわけではない。また、建物内に残された家財を処分する残置物の対応は、特定空家指定を回避するためにも重要なプロセスとなる。さらに、廃棄物処理法は残置物の処分方法に深くかかわり、適切な業者選びの基準にもなる。RELATED
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