身元保証サービスの契約を考え始めた方へ。これは、誰かがだまそうとしている話ではありません。ただ、仕組みを知らないまま契約すると、後で困ることがある。それだけのことです。
国民生活センターや消費者庁が注意を呼びかけているのも、契約そのものを否定するためではありません。安心して選べるように、確認すべき点を整理するためです。


身元保証サービスに前払いでお金を預けようと思っているのですが、もし途中で契約をやめたら、そのお金は戻ってくるのでしょうか。パンフレットにはっきり書いていなくて、不安です。
誤解その1|「前払金は事業者が安全に預かってくれる」とは限らない
前払金を渡せば、そのお金は特別に守られていると考えがちです。しかし、国民生活センターが2019年5月30日に公表した資料によると、実際には契約内容をよく理解しないまま契約し、想定と異なる結果になった相談が寄せられています。
同資料では、事業者の財産状況が悪化し、身元保証サービス自体が終了してしまい、既に払った預託金が返還されないといった相談内容も紹介されています。前払金がどのように保管されるかは、契約ごとに異なります。
誤解その2|「解約すればいつでも全額返ってくる」とは限らない
国民生活センターが2025年5月29日に公表した資料には、判断能力が低下してきた高齢者が、契約者と契約を解除しようとしたところ、半分程度しか返還されないと言われた相談が紹介されています。
また、消費生活センターに寄せられた相談の中には、契約者が急に亡くなり、遺族がサービス内容を知らないまま解約を申し出て、費用の精算方法について詳細な説明がなかったという声もあります。解約時に何が返り、何が戻らないのかは、契約前に確認しておく必要があります。


なぜこうしたことが起きるのか|業務の範囲が広く、法律の網が一枚ではない
消費者庁の資料によると、いわゆる「高齢者等終身サポート事業」は、身元保証、死後事務、日常生活支援など、業務の内容が民事法や社会保障関係法など広い範囲にまたがっています。
これは、ひとつの法律だけで事業全体を管理できる形になっていない、ということでもあります。そのため消費者庁は、事業者が守るべき法律上の規定や、留意すべき事項を整理した「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」を策定しました。
このガイドラインは、利用者が事業者を判断する目安にもなるもので、簡単に確認できるチェックリストも合わせて作成されています。
国民生活センターの2019年5月30日の資料でも、業務の性質上、こうしたサービスは高齢者の暮らしに深く入り込む、と説明されています。契約の対象となる業務は、金銭管理、日常生活支援、入院時の身元保証や入院中の様々な生活支援、亡くなった後の葬儀や火葬に関することなど、多岐にわたります。



契約書は「今」だけでなく「その先」を読む
現場で契約書を見せていただくと、初回の説明では触れられなかった条件が、細かい字で書かれていることがあります。特に解約時の精算方法は、契約時にきちんと聞いておくべき項目です。ご家族が代わりに確認してくれる場合でも、本人が納得しているかどうかを、あわせて聞いておくといいと思います。
契約前に確認しておきたいこと
国民生活センターが2019年5月30日に公表した資料では、契約する前に、契約する事業者の事業内容や財務状況について、できる限り確認するよう呼びかけています。また、契約書の内容をよく確認せずに契約しないこと、預託金の保全方法について確認すること、を挙げています。
不安に感じることがあれば、契約前に家族や身近な人に相談することも勧められています。契約後にトラブルになった場合は、早めに最寄りの消費生活センターに相談するよう呼びかけられています。
消費者庁も、サービス内容や自身の支払能力などについて、公表しているポイント集を参考に確認し、不安がある場合は消費生活センターや地域包括支援センターに相談するよう呼びかけています。あわせて公表されている「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」の別紙チェックリストも、契約前の確認に活用できます。
- 事業者の事業内容や財務状況を確認する
- 契約書の内容をよく確認する
- 預託金の保全方法を確認する
- 不安があれば家族や身近な人に相談する
- 消費者庁のチェックリストを使って確認する


よくある質問
身元保証サービスとはどんな内容を含みますか
国民生活センターの2019年5月30日の資料によると、入院や高齢者施設等への入居契約の際の身元保証や、死後の葬儀や火葬に関することなどの依頼、日常生活上の様々な事務代行を行うサービスとされています。事業者ごとに提供する内容の範囲は異なります。
契約後にサービスが受けられなくなることはありますか
国民生活センターの2019年5月30日の資料には、事業者の財産状況が悪化し、サービス自体が終了してしまったという相談内容が紹介されています。事業者の経営状況を確認する必要性が、そこからうかがえます。
相談件数はどのくらいありますか
国民生活センターの2019年5月30日の資料によれば、PIO-NETに登録された相談件数は、2013年度85件、2014年度99件、2015年度177件、2016年度127件、2017年度74件、2018年度101件とされています。
ガイドラインはどこで確認できますか
消費者庁のウェブサイトに「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」と、その主なポイントをまとめた資料、別紙のチェックリストが公表されています。契約前に確認する際の目安として活用できます。
困ったときはどこに相談すればいいですか
国民生活センターの資料では、最寄りの消費生活センターへの相談を呼びかけています。消費者庁の資料でも、消費生活センターや地域包括支援センターへの相談が案内されています。消費者ホットライン188番でもつながります。


契約する前に、預けたお金の保全方法と、解約したときにどう精算されるのかを、しっかり聞いておこうと思います。少し安心しました。



焦らず、聞くべきことを聞く
その姿勢がいちばん大切だと思います。契約を急がされているように感じたら、一度立ち止まって、ご家族や消費生活センターに相談してみてください。それだけで、トラブルの多くは避けられると感じています。
まとめ|確認すべきは「保全」と「解約時の扱い」
高齢者等終身サポート事業は、身元保証や死後事務、日常生活支援など、広い範囲の業務を含みます。それゆえに、法律の枠組みも一つではありません。
国民生活センターと消費者庁が、それぞれの立場から注意を呼びかけ、消費者庁はガイドラインとチェックリストを公表しています。契約前には、事業者の財務状況、前払金の保全方法、解約時の精算方法を確認すること。それが、安心して契約するための第一歩です。
参考・出典
- 国民生活センター「身元保証等高齢者サポートサービスをめぐるトラブルにご注意」(2019年5月30日公表):https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20190530_1.html
- 消費者庁「いわゆる『高齢者等終身サポート事業』の利用に関する注意点」:https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_018
- 国民生活センター「終身サポートサービスの契約トラブルにご注意」(2025年5月29日公表):https://www.kokusen.go.jp/mimamori/mj_mailmag/mj-shinsen511.html
終活全体の進め方については「終活は何から始める?優先順位と最初の3ステップ」も参考にしてください。おひとりさまの備え方は「おひとりさまの終活|身元保証・死後事務で備える4つのこと」でも解説しています。

