エンディングノートを書き終えて、ひと安心している方は多いと思います。
ですが「人生会議」は、書類を1回作ることでは終わりません。厚生労働省の定義そのものが、話し合いを繰り返すことを求めています。
この記事では、その定義を確認しながら、何を、誰と、どれくらいの頻度でやればよいのかを整理します。



エンディングノート、去年書いたんです。もう終わったことだと思っていたんですが、違うんでしょうか。
誤解その1|「一度書けば終わり」ではない
厚生労働省のウェブサイトでは、「人生会議」とは「もしものときのために、あなたが望む医療やケアについて前もって考え、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取組」と説明されています(厚生労働省「人生会議」してみませんか)。
この文章には「繰り返し」という言葉が入っています。一度だけ考えて、書き留めて終わり、という取り組みではないということです。
エンディングノートに医療やケアの希望を書くこと自体は、悪いことではありません。ただ、それを書いた時点の考えが、その後もずっと同じとは限りません。
誤解その2|書式を整えることが目的ではない
人生会議ポータルサイトでも、同じ趣旨が繰り返されています。「あなたが大切にしたいこと、望んでいる生き方、そして『もしものとき』にどのような医療やケアを望むかについて、前もって考え、話し合っておくこと」と説明され、「ご家族や大切な人たち、そして医療・ケアチームと話し合っておくこと」が本人の希望の実現につながるとされています(厚生労働省「自分らしく生きるための『人生会議』ポータルサイト」)。
ここで強調されているのは、書式や様式ではなく「話し合っておくこと」というプロセスです。誰にどんな書式で伝えるかより、誰と何回話したかが問われています。
WEBマガジン「厚生労働」でも、ACPは「もしものときのために、あなたが望む医療やケアについて前もって考え、ご家族や医療・ケアチームなどと繰り返し話し合い、共有する取り組み」と説明されています(厚生労働省WEBマガジン「厚生労働」クローズアップ)。
3つの一次情報のいずれも、「繰り返し」という言葉を欠かしていません。


なぜ一度きりでは足りないのか|考えは変わることが前提にある
人生会議が「繰り返す」ことを前提にしているのには理由があります。もしものときの医療やケアへの希望は、健康な時期と、実際に病を得た時期とで、同じとは限らないからです。
厚生労働省の定義は、話し合う相手も一つに限定していません。「家族等」と「医療・ケアチーム」の両方が挙げられています。家族だけで済ませる話し合いでも、医療者だけとの話し合いでもなく、その両方に共有されることが想定されています。
つまり人生会議とは、ある一時点の希望を固定して残す作業ではなく、時間の経過とともに更新されることを織り込んだ取り組みだということです。一度書いたノートを見直す機会を、あえて作らなければ、更新は起きません。
図:人生会議の定義に含まれる3つの要素
| 前もって考える | もしものときの医療・ケアについて、元気なうちに考えること |
| 繰り返し話し合う | 一度ではなく、時間をおいて何度も話し合うこと |
| 共有する | 家族等と医療・ケアチームの両方に伝わっていること |
出典:厚生労働省「人生会議」してみませんか



書いたノートを、誰にも見せていないケース
エンディングノートを書いても、家族にも医療者にも見せていない、という話をよく聞きます。厚生労働省の定義には「共有する」という言葉が入っています。書いた内容を、どこかのタイミングで家族等や医療・ケアチームに伝える機会を持つことが、定義の一部として求められているわけです。
今日からできること|「もう一度話す日」を決める
まず、エンディングノートを書いた日から、どれくらい時間が経ったかを確認してみてください。書いたときと今とで、体調や生活の状況が変わっていれば、考えが変わっている可能性があります。
次に、ノートに書いた内容を、家族の誰かに一度話してみることです。話す相手は一人で構いません。書いたものを見せるだけでなく、声に出して伝えることで、共有の第一歩になります。
厚生労働省は、人生会議学習サイトや漫画、動画など、話し合いのきっかけになる資材を複数公開しています。何をどう話せばよいか分からない場合は、そうした資材を参考にすることもできます。
通院先がある場合は、医療・ケアチームとの話し合いの機会について、担当の医師や看護師に相談してみることも一つの方法です。どのタイミングで話し合うかは、受けている医療や介護の状況によって異なります。
よくある質問



今のノートを、また作り直さないといけないんでしょうか。正直、気が重いです。



作り直すことより、話す機会を
ノートを全部書き直す必要はありません。今書いてあることを、家族に一度声に出して話してみる。それだけでも、定義にある「繰り返し話し合う」の一歩になります。負担に感じるほど大掛かりに考えなくて大丈夫です。


それなら、今週末にでも子どもに話してみます。少し気持ちが軽くなりました。
まとめ|書くことより、話し続けること
厚生労働省の定義は一貫して「繰り返し話し合い、共有する」という言葉を使っています。人生会議は書類を作る作業ではなく、時間をかけて続ける取り組みです。
すでにエンディングノートを書いている方も、そこで手を止めず、書いた内容を誰かに話す機会を持ってみてください。それが、定義に沿った次の一歩になります。
エンディングノートの書き方そのものを見直したい方は、下記の記事も参考にしてください。
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参考・出典
- 厚生労働省「自分らしく生きるための『人生会議』ポータルサイト」 https://www.mhlw.go.jp/acp-jinseikaigi/
- 厚生労働省「『人生会議』してみませんか」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02783.html
- 厚生労働省WEBマガジン「厚生労働」クローズアップ「人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)してみませんか?」 https://www.mhlw.go.jp/stf/web_magazine/closeup/23.html

