「永代使用料を払ったのだから、この先ずっと使える」。そう思っている方は少なくありません。ですが、墓地には永代使用料とは別に、毎年支払う管理料があります。
この管理料を一定期間滞納すると、使用許可そのものを取り消される場合があります。不幸な話として読む必要はありません。制度を知っておけば、避けられる話です。


お墓を建てたときに大きなお金を払いました。だから、もう払うものは無いと思っていたのですが…。管理料というのは、今から毎年払うものなんでしょうか。
誤解その1|「永代使用料」は「永代、何もしなくていい」という意味ではない
「永代使用料」という言葉から、「これを払えば永遠にそのまま使える」と考える方がいます。ですが、永代使用料が意味するのは、その区画を使う権利を得るための一回限りの費用です。
墓地の参道やトイレ、植栽などの維持には、毎年の費用がかかります。これをまかなうために、使用者は年ごとに管理料を納めることになっています。管理料は永代使用料とは別建てで、払い続ける必要があるものです。
横浜市の案内では、横浜市営墓地・納骨堂は、使用者が利用する墓参道やトイレ、植栽などの各種設備を維持管理する経費として、毎年1回の管理料を納めることになっています(横浜市「墓地・納骨堂の年間管理料のお支払いについて」)。合葬式納骨施設など、使用許可時に一括で納めた場合は例外です。


誤解その2|滞納しても、すぐに没収されるわけではないが、期限はある
管理料を滞納したからといって、ただちに区画が取り上げられるわけではありません。ただし、滞納が一定期間続くと、使用許可の取消対象になるという点は押さえておく必要があります。
横浜市の案内では、管理料が5年間納付されない場合に使用許可の取消対象になることが明記されています(横浜市「墓地・納骨堂の年間管理料のお支払いについて」)。また、神戸市立墓園のよくある質問では、神戸市立墓園条例第11条に、所定の使用料を納付しないときは使用許可を取り消すことができると定められていることが示されています(神戸市「神戸市立墓園のよくある質問」)。
同条例では、使用者が住所不明となり5年間経過したときも取消対象となる旨が記載されています。
自治体や墓地の種類によって、取消の要件や期間は異なります。自分が使用している墓地がどの条例・規則の対象になっているかは、管理事務所や自治体の窓口に確認するのが確実です。
なぜそうなるのか|管理料は「施設全体を支える費用」という構造
管理料がなぜ別立てで必要なのかは、誰のための費用かを考えると分かりやすくなります。永代使用料は、自分の区画を使う権利への対価です。これに対し、管理料は墓地全体の共用部分を維持するための費用です。
横浜市の年間管理料は、三ツ沢墓地・日野公園墓地・久保山墓地が年額5,000円、メモリアルグリーンが8,370円、舞岡しぜん墓園が11,000円、日野こもれび納骨堂が9,900円です(横浜市「墓地・納骨堂の年間管理料のお支払いについて」)。墓地の種類や設備によって金額が異なることが分かります。
東京都霊園条例施行規則では、一般埋蔵施設の管理料は1平方メートル・1年につき810円と定められています(東京都霊園条例施行規則 別表第二)。面積に応じて金額が決まる仕組みです。この規則には、管理料を減額・免除できる場合として、生活保護の受給中であることなどが挙げられています。
誰か一人が払わなくなっても、墓地全体の維持費は変わりません。そのため、長期にわたる滞納は、使用許可の取消という形で整理せざるを得ない、という構造になっています。
図:管理料滞納から取消までに関わる主な期間
| 自治体・墓地 | 取消に関わる要件 |
|---|---|
| 横浜市営墓地・納骨堂 | 管理料が5年間納付されない場合、取消対象 |
| 神戸市立墓園 | 所定の使用料を納付しないとき/住所不明のまま5年間経過したとき(条例第11条) |
※取消の要件・手続きは自治体や条例によって異なります。必ず自分が使用する墓地の条例・施行規則を確認してください。



見落とされやすいのは「送付先」の更新です
管理料の納入通知書は、使用者の住所に届きます。引っ越しや名義人の死亡があっても住所変更の手続きをしていないと、通知が届かず、滞納に気づかないまま時間が過ぎてしまうことがあります。横浜市の案内でも、送付先変更には書面やメールでの申し出が必要とされています。心当たりがある方は、早めに管理事務所へ確認しておくと安心です。
今できること|滞納に気づいたら、まず確認したい3つのこと
- 自分が使用している墓地が、どの自治体・条例の対象になっているかを確認する
- 管理事務所に、現在の滞納状況と、取消までの残りの期間を確認する
- 口座振替など、払い忘れを防ぐ仕組みがあるかを確認する
管理料の支払い方法は、納入通知書による窓口払いのほか、口座振替を選べる場合があります。横浜市の案内では、口座振替の手続きには使用許可証など区画番号が分かる書類が必要とされています。
生活保護を受給している場合の減免制度がある自治体もあります。該当するかどうかは、管理事務所や自治体の窓口に確認してください。
すでに墓を使う人がいない、もしくは今後も管理が難しいと分かっている場合は、滞納が続く前に墓じまいを検討するという選択肢もあります。墓じまいの具体的な流れについては、関連記事も参考にしてください。
名義人が亡くなった後、承継の手続きをしないまま放置されるケースもあります。承継については次の記事で整理しています。
お墓を継ぐのは長男とは限らない|公営霊園が求める「祭祀を主宰する者」
よくある質問


うちのお墓がどの制度に当てはまるのか、まだよく分かっていません。まずは何をすればいいでしょうか。



まずは納入通知書か、墓地の管理事務所に確認を
自治体や墓地によって、管理料の金額も、取消までの期間も異なります。手元に納入通知書や使用許可証があれば、それを持って管理事務所に問い合わせるのが一番確実です。分からないまま放置するのが、一番避けたい状態です。
まとめ|「払い続ける前提」で、今の状況を確認する
永代使用料を払ったことと、その後も管理料を払い続けることは、別の話です。管理料は墓地全体を維持するための費用で、毎年納める必要があります。
滞納してもすぐに区画を失うわけではありませんが、横浜市や神戸市の例に見られるように、一定期間の滞納は使用許可の取消対象になります。先延ばしにも期限があることを踏まえ、今の状況を確認しておくことが、将来の負担を減らすことにつながります。
無料・10の質問・約2分・名前の入力なし
あなたの「お墓・供養のそなえ」は何点?
「はい・いいえ・わからない」で答えるだけで、いまの準備の進み具合が点数で分かります。点数に合わせて、次に読んでおきたい記事もご案内します。
お墓・供養そなえ度チェックをはじめる参考・出典
- 横浜市「墓地・納骨堂の年間管理料のお支払いについて」 https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/saijo/shieibochi/20210901kanriryou.html
- 東京都霊園条例施行規則 https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00001492.html
- 神戸市「神戸市立墓園のよくある質問」 https://www.city.kobe.lg.jp/a60186/kurashi/memorial/cemetery/faq.html


