墓じまいを考え始めたとき、多くの方がまず不動産の売買のような手続きを想像します。ですが実際に最初につまずくのは、たいてい書類の順番です。
これは不幸な話ではありません。順番さえ分かれば、誰でも進められる手続きです。焦らず、順を追って確認していきましょう。


新しい納骨先はもう決めたのに、市役所に行ったら書類が足りないと言われました。何から手をつければよかったのでしょうか。
誤解その1|改葬許可はどこの役所でも出せるわけではない
改葬許可の申請先を、新しい納骨先の市町村だと思い込む方が少なくありません。実際は逆です。
佐世保市のページによれば、改葬許可の申請先は「現在の墓地などがある市町村」になります(佐世保市「火葬証明書・分骨証明書・改葬許可証」)。新しい納骨先ではなく、今、遺骨が納まっているお墓や納骨堂の所在地を管轄する自治体に申請する決まりです。
この点を取り違えたまま新しい納骨先の役所に相談してしまい、手続きが止まってしまう例が起きやすいところです。まず確認すべきは、今のお墓の住所と、それがどの市町村に属するかということです。
誤解その2|改葬先はあとから決めればいいわけではない
もう一つよくある誤解が、改葬先を決める前に手続きを始めてしまうことです。
佐世保市の案内では、改葬先が定まっていない場合、改葬許可証を交付できないとされています(佐世保市「火葬証明書・分骨証明書・改葬許可証」)。改葬許可は「今の場所から新しい場所へ移す」ことを許可する制度なので、移し先が決まっていないと申請そのものが成立しません。
つまり、受入先の証明が先に要る、という順番になります。ここを知らずに現在のお墓のほうから先に動いてしまうと、後で受入証明書を取りに行き直すことになりかねません。


なぜこの順番になるのか|申請書に必要な項目から見える構造
この順番になる理由は、法律で定められた申請書の記載事項を見ると分かります。
墓地、埋葬等に関する法律施行規則第二条によれば、改葬許可の申請書には「改葬の場所」を記載しなければならないとされています(墓地、埋葬等に関する法律施行規則第二条)。つまり申請書のなかに、改葬先の情報を書く欄がそもそも存在するということです。
さらに同条第二項では、添付書類として「墓地又は納骨堂の管理者の作成した埋葬若しくは埋蔵又は収蔵の事実を証する書面」が必要と定められています(同施行規則第二条第二項第一号)。これは今のお墓の管理者が、確かにそこに遺骨が納められている事実を証明する書類です。
加えて、申請者が墓地使用者本人でない場合は、墓地使用者からの承諾書も必要とされています(同施行規則第二条第二項第二号)。佐世保市の申請の流れでも、現在の墓地等の管理者から「現管理者の証明」を受け、墓地使用者等から「現使用者等の承諾」をもらう手順が示されています(佐世保市「火葬証明書・分骨証明書・改葬許可証」)。
このように、改葬許可申請は「今のお墓の証明」と「移し先の情報」の両方がそろって初めて完成する書類です。だからこそ、申請先も現在のお墓がある自治体になり、受入証明書を先に用意しておく必要が出てきます。



現場で見てきた順番の崩れ方
ご遺族の方は、まず新しいお墓を決めることに気を取られがちです。でも実は、今のお墓の管理者に一声かけておくことも同じくらい大切です。
証明書をお願いするのは管理者ですから、先に関係性を作っておくと、後の手続きがスムーズに進みます。
今できること|順番を間違えないための三つの確認
ここまでの内容を踏まえると、動き出す前に確認すべきことは大きく三つに整理できます。
- 今のお墓や納骨堂がどの市町村にあるかを確認する(申請先になります)
- 改葬先を先に決め、受入を証明してもらう書類を用意する
- 今の墓地等の管理者に、埋蔵の事実証明と、必要であれば承諾を早めに依頼する
佐世保市の案内では、これらの確認事項はどの順番で進めても構わないとされています(佐世保市「火葬証明書・分骨証明書・改葬許可証」)。ただし、申請書を提出する段階では、すべてがそろっている必要があります。
また、申請書には死亡者の本籍、住所、氏名、死亡年月日、埋葬または火葬の場所や年月日、改葬の理由なども記載が必要です(墓地、埋葬等に関する法律施行規則第二条第一項)。戸籍や過去帳などで、事前に情報を確認しておくと手続きがスムーズです。


よくある質問
改葬許可の申請書は、どこで手に入りますか
申請方法や様式は市町村ごとに異なります。佐世保市の案内でも、様式は市町村ごとに異なるため、現在の墓地等がある市町村に問い合わせるよう案内されています(佐世保市「火葬証明書・分骨証明書・改葬許可証」)。まずは現在のお墓の所在地の役所に確認しましょう。
墓地の管理者に証明をお願いするとき、何を伝えればよいですか
施行規則では、管理者が作成する「埋葬若しくは埋蔵又は収蔵の事実を証する書面」が必要とされています(墓地、埋葬等に関する法律施行規則第二条第二項第一号)。誰の遺骨が、いつからそこに納められているかを示す書類ですので、その旨を伝えて依頼してください。
自分が墓地の使用者でない場合、何が必要ですか
墓地使用者等以外の方が申請する場合は、墓地使用者等からの改葬についての承諾書、またはこれに代わる裁判関係の書面が必要とされています(同施行規則第二条第二項第二号)。申請者と墓地使用者が異なる場合は、早めに承諾をもらっておくことをおすすめします。
改葬先が決まっていない状態でも申請できますか
佐世保市の案内によれば、改葬先が定まっていない場合は改葬許可証を交付できないとされています(佐世保市「火葬証明書・分骨証明書・改葬許可証」)。改葬先を決めてから申請の準備を進めるのが確実です。
郵送で手続きすることはできますか
佐世保市の場合、改葬許可申請書、本人確認書類のコピー、必要切手を貼った返信用封筒を同封して郵送する方法が案内されています(佐世保市「火葬証明書・分骨証明書・改葬許可証」)。ただし、これは佐世保市の運用ですので、実際に申請する市町村に確認してください。


今のお墓の場所と、新しい納骨先の証明書を先に準備すればいいんですね。順番が分かって、少し気持ちが楽になりました。



焦らず一つずつで大丈夫です
お墓の場所の確認、受入証明書、管理者への依頼。この三つがそろえば、あとは申請書を書くだけです。
分からないことがあれば、現在のお墓がある市町村の窓口に電話で聞いてしまうのが、実は一番早い方法です。
まとめ|書類の順番を知れば、墓じまいは止まらない
改葬許可の申請先は、今のお墓がある市町村です。新しい納骨先の役所ではありません。
そして、改葬先が決まっていなければ、改葬許可証は交付されません。受入を証明する書類を先に準備しておくことが、手続きを止めないための鍵になります。
この二点さえ押さえておけば、墓じまいの書類手続きで大きくつまずくことは避けられます。分からない点は、今のお墓がある市町村の窓口に確認しながら、一つずつ進めてください。
参考・出典
- 厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=79150000&dataType=0&pageNo=1
- 佐世保市「火葬証明書・分骨証明書・改葬許可証」https://www.city.sasebo.lg.jp/hokenhukusi/seikat/kasou-bunkotu-kaisou.html
墓じまい全体の流れについては、こちらの記事もあわせてご覧ください。墓じまいの流れと費用|手続き・トラブル回避のポイント

