「その場で契約してしまった」「あとで請求額を見て青ざめた」。もしいま、そんな状態でこのページを開いているなら、まず落ち着いてください。契約してすぐでも、取り消せる制度があります。
これは特別な救済ではありません。訪問販売という契約の形に対して、法律があらかじめ用意している一般的な仕組みです。順を追って整理します。


見積もりだけのつもりで来てもらったのに、その場で契約書にサインしてしまいました。もう戻れないですよね……。
誤解その1|サインしたら終わり、ではない
契約書に署名した時点で、もう取り消せないと思い込んでいる人は少なくありません。しかし国民生活センターが公表した資料には、見積もりのために呼んだ事業者とその場で契約した場合や、広告等の表示額と実際の請求金額が大きく異なる場合について、特定商取引法の訪問販売によるクーリング・オフ等が適用できる可能性があると明記されています(国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル」2022年11月2日公表)。
つまり、契約書に「クーリング・オフはできない」と書かれていたとしても、それだけで無効になるとは限らないということです。同資料に紹介された相談事例では、作業終了後に高額な料金を請求されて支払い、「クーリング・オフはできない」と書かれた書面にサインをさせられたという内容がありました。
これは本人が支払いに応じ、書面にもサインしたあとの相談です。それでも相談として取り上げられているということは、あきらめる前に確認する余地があるということです。
誤解その2|「安い定額パック」の広告どおりにはならないことがある
もう一つの誤解は、広告に出ていた金額がそのまま最終請求額になると思い込むことです。同資料では、「軽トラックパック7,000円、2トントラックパック2万5,000円」という広告を見て申し込んだところ、当日は2トントラックで来訪し、作業後に25万円を請求されたという相談事例が紹介されています。
広告の金額と、実際に来た作業員が提示する金額のあいだに開きがあること自体が、トラブルの起点になっています。このような「事前の説明と大きく異なる高額請求」も、クーリング・オフ等が適用できる可能性があるケースとして同資料に含まれています。


なぜ8日で切れるのか|書面を受け取った日を1日目に数える
この記事のタイトルにある「8日以内」という数字は、特定商取引法が訪問販売契約に定めているクーリング・オフの期間です。起算点は、契約した日ではなく、法律で定められた内容が記載された書面を受け取った日です。この日を1日目として数えます。
身内を亡くした直後は、時間の感覚が普段と違います。何日経ったか分からないまま日が過ぎてしまうこともあります。だからこそ、まず手元にある書面の日付を確認することが最初の一歩になります。
相談件数の推移を見ると、この種のトラブルは決して珍しいものではありません。国民生活センターの資料によれば、PIO-NETに登録された不用品回収サービスに関する相談件数は、2018年度が1,354件、2019年度が1,457件、2020年度が1,788件、2021年度は2,231件と、年々増加しています(国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル」2022年11月2日公表)。
この数字は不用品回収に限ったものですが、訪問して見積もりを取り、その場で契約するという形そのものが、構造的にトラブルを生みやすいことを示しています。
図:相談件数の推移(国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル」2022年11月2日公表)
| 年度 | 相談件数 |
|---|---|
| 2018年度 | 1,354件 |
| 2019年度 | 1,457件 |
| 2020年度 | 1,788件 |
| 2021年度 | 2,231件 |



見落とされやすいのは「支払ってしまったあと」の扱い
クーリング・オフというと、契約書に印を押しただけの段階を思い浮かべる人が多いのですが、国民生活センターの事例は、実際にお金を支払ってしまったあとの相談でした。支払い済みでも、まず消費生活センターに相談してみることが大切です。一人で「もう無理だ」と決めつけないでほしいところです。
いま手元でできること|書面の日付と相談窓口の確認
まず、契約時に渡された書面の日付を確認してください。特定商取引法の書面を受け取った日が1日目です。そこから8日以内かどうかを数えます。
次に、契約の経緯を簡単でよいのでメモに残してください。見積もりのために呼んだのか、その場で契約書へのサインを求められたのか、広告に出ていた金額と実際の請求額がどれだけ違ったか。この3点は、相談時に必ず聞かれる内容です。
そのうえで、消費生活センター等に連絡してください。国民生活センターの資料では、不安に思った場合やトラブルになった場合には、一人で悩まず最寄りの消費生活センター等に相談するよう案内されています。
消費者ホットライン「188(いやや!)」は、最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等を案内する全国共通の3桁の電話番号です。
なお、作業開始後に事前に聞いていない高額な料金を請求された場合は、後日納得した金額で支払う意思があることを示しつつ、その場での支払いを断ることも一つの方法として同資料に示されています。支払いを迫る態度に身の危険を感じた場合は、警察に連絡することも一法とされています。
よくある質問


まずは書面の日付を確認して、消費生活センターに電話してみます。あきらめなくてよかったです。



一人で抱えないでください
気持ちが落ち着かないときほど、判断を急がされがちです。まず記録を残し、188番に電話するところから始めてみてください。
まとめ|サインのあとでも、まだ確認できることがある
その場で契約してしまったこと、広告と違う金額を請求されたことは、珍しい出来事ではありません。国民生活センターの資料によれば、相談件数は2018年度から2021年度にかけて増え続けています。
契約書に署名したことも、支払いを済ませたことも、それだけで終わりではありません。まず書面の日付を確認し、最寄りの消費生活センター等に相談することから始めてください。
参考・出典
- 国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル-市区町村から一般廃棄物処理業の許可を受けず、違法に回収を行う事業者に注意!-」(2022年11月2日公表)https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20221102_1.html

