「葬儀費用の平均は約〇〇万円」という数字を見て、ひとまず安心した方も多いと思います。ですが、その数字は、あなたが今から準備する葬儀の金額とは、別のものかもしれません。
これは、誰かが嘘をついているという話ではありません。平均という数字の性質を、少し知っておくだけで済む話です。


ネットで見た平均額より、うちの見積もりのほうがずいぶん高いんです。うちだけ高いのでしょうか。それとも、平均のほうがおかしいのでしょうか。
葬儀の費用の内訳、相場の見方、戻ってくるお金は葬儀費用のすべてにまとめています。あわせてご覧ください。
誤解その1|「平均額」はどの葬儀にも当てはまる数字ではない
まず知っておきたいのは、葬儀費用の「平均」という言葉が、何を足し算した結果なのかを、私たちは普段確認していないということです。
総務省統計局は、家計調査という統計のために「品目分類」という基準を公表しています(総務省統計局「家計調査 品目分類一覧」2025年(令和7年)1月改定)。この分類では、費用の項目が細かく区分され、世帯の属性によっても集計の対象範囲が異なることが示されています。
つまり、統計の世界では「何を集計対象に含めるか」自体が、あらかじめ丁寧に定義されているのです。ところが世に出回る「葬儀費用の平均」という数字は、この算入範囲がどこまで揃えられているか、読者側からは見えません。
誤解その2|「家族葬だから安い」も、そのままでは正しくない
国民生活センターは2026年6月3日、葬儀サービスの料金トラブルについて注意を呼びかけました(国民生活センター 2026年6月3日公表)。相談事例には、次のようなものが紹介されています。
- 一日葬は約30万円というチラシを見て依頼したところ、約80万円の契約になった
- 「家族葬50万円」という表示を見て依頼したところ、見積書に明細がなく、追加費用も発生して総額200万円を超えた
「家族葬だから安い」という前提そのものが、このセンターの発表資料の副題にもなっています。安いのは表示された一部の金額であって、総額ではない、というのが実際に起きていることです。
詳しい種類ごとの費用相場については「葬儀の種類と費用相場|家族葬・一日葬・直葬の違い早わかり」でも整理していますので、あわせてご覧ください。


なぜこうなるのか|見積もりの「入口」と「総額」が別の場所にある
国民生活センターの資料では、全国の消費生活センター等に寄せられる葬儀サービスの相談件数が、増加傾向で推移していると報告されています。2019年度は632件でしたが、2025年度は917件です(国民生活センター 2026年6月3日公表)。
さらに注目すべきは、そのうち「高価格・料金」に関する相談の割合です。2019年度は33.2%でしたが、2025年度は52.6%まで上昇しています(同資料)。相談全体が増えるだけでなく、その中身が「思っていたより高い」という不満に偏ってきているということです。
同資料は、令和6年の死亡数が約161万人となり、厚生労働省の調査開始以来最多だったことにも触れています。葬儀の取扱件数が増える一方、家族葬・一日葬・直葬など形態が多様化し、費用項目そのものが複雑になっている、という背景が述べられています。
入口で見せられる金額と、最終的に請求される総額。この二つが別の場所にあるという構造が、平均額という一つの数字の裏に隠れています。



見積書は「絵」ではなく「明細」で見る
現場で見積書を交わすとき、金額だけを見て安心してしまう方は少なくありません。でも本当に見るべきは、その金額に何が含まれ、何が含まれていないかという明細です。国民生活センターの相談事例でも、明細のない見積書が問題になっています。ここを一緒に確認するだけで、トラブルの多くは防げると感じています。
今できること|平均額ではなく自分の条件での総額を確かめる
国民生活センターは、消費者へのアドバイスとして次の4点を挙げています(国民生活センター 2026年6月3日公表)。
- 葬儀の希望やイメージを考えて情報収集をすること
- 葬儀社との打ち合わせは親族や第三者など複数で行うこと
- 見積書は必ず受領し、内容(明細)をよく確認すること
- 不安に思った場合やトラブルが生じた場合には、すぐに最寄りの消費生活センター等に相談すること(消費者ホットライン188)
平均額を目安として見ること自体は悪くありません。ただし、それを鵜呑みにせず、自分が依頼する葬儀社の見積もりが何を含んでいるかを、一つひとつ確認する作業が欠かせません。
見積もりの確認ポイントについては「葬儀社の選び方|見積もりで必ず確認する7つのチェック項目」、料金トラブルの防ぎ方については「葬儀の料金トラブルが過去最多に|「車の見積もり」と同じ視点で防ぐ7つの鉄則」でも詳しく解説しています。


よくある質問


平均額を鵜呑みにせず、見積もりの明細を自分で確認すればいいんですね。少し気持ちが楽になりました。



見るべきは、いつでも総額です
平均額は、あくまで目安の一つに過ぎません。大切なのは、自分が依頼する内容で、最終的にいくらになるのかという総額を、明細つきで確認することです。焦らず、一つずつ確認していきましょう。
まとめ|平均額を悔やむ前に、明細と総額を確かめる
「葬儀費用の平均は〇〇万円」という数字は、何かを保証するものではありません。統計の算入範囲は資料ごとに異なり、実際の請求額は見積もりの明細次第で大きく変わります。
国民生活センターに寄せられる相談は増加傾向にあり、その中でも「高価格・料金」に関する不満の割合は年々高まっています。平均額を見て安心するのではなく、自分の条件でいくらになるのか、見積書の明細を一つひとつ確認することが、今できる一番確実な備えです。
家族葬にまつわる後悔の正体についても「「家族葬にしなければよかった」は本当か|後悔の正体は”形式”ではなく”お金の総額”である」で詳しく触れています。
無料・10の質問・約2分・名前の入力なし
あなたの「葬儀のそなえ」は何点?
「はい・いいえ・わからない」で答えるだけで、いまの準備の進み具合が点数で分かります。点数に合わせて、次に読んでおきたい記事もご案内します。
葬儀そなえ度チェックをはじめる参考・出典
- 国民生活センター「依然として多い葬儀サービスの料金トラブル-「家族葬だから安い」と思っていませんか?-」2026年6月3日公表 https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260603_2.html
- 総務省統計局「家計調査 品目分類一覧」2025年(令和7年)1月改定 https://www.stat.go.jp/data/kakei/koumoku/bunrui2025.html


