この記事のポイント
- リビングウィルとは、自分が意思表示できなくなった場合に備えて、医療・介護に関する希望を事前に書き記した文書のこと。
- 法的拘束力はないが、家族や医療従事者が本人の意思を尊重した判断を下すうえで重要な指針となる。
- 作成するタイミングは「元気なうち」が鉄則。エンディングノートや遺言と組み合わせることで、より包括的な終活が実現できる。
リビングウィルの意味と背景
言葉の由来と意味
「リビングウィル」は英語の「Living Will」をそのまま日本語読みしたものです。「Living」は「生きている」、「Will」は「意志・遺言」を意味します。つまり、生きているうちに自分の意志を示す文書という意味です。
欧米では1960年代から普及し始め、日本では1970年代以降に終末期医療の議論が高まるなかで注目されるようになりました。高齢化社会の進展とともに、近年は終活の文脈でも頻繁に取り上げられています。
何を記載するのか
リビングウィルに記載する内容は、本人が自由に決めることができます。一般的に記載される項目は以下のとおりです。
- 延命治療(人工呼吸器・胃ろう・心肺蘇生など)を望むかどうか
- 緩和ケア(痛みや苦痛を和らげる医療)の希望
- 臓器提供・献体に関する意思
- 看取りの場所(自宅・病院・施設など)についての希望
- 家族や医療チームへのメッセージ
記載内容に決まった形式はなく、自由記述で作成することも、日本尊厳死協会などが提供する定型書式を利用することもできます。
遺言書との違い
リビングウィルは「遺言書」とは性質が異なります。遺言は財産の分配や相続に関する法的効力を持つ文書です。一方、リビングウィルは医療・介護の希望を示すもので、現時点では日本の法律上の強制力はありません。あくまでも「本人の意思を示す指針」として機能します。
注意点・メリット・デメリット
リビングウィルのメリット
- 本人の意思が明確に伝わり、家族が苦渋の選択を迫られる場面を減らせる
- 医療従事者が本人の意向を把握したうえで治療方針を検討できる
- 自分らしい最期を実現するための具体的な意思表示になる
- 家族間での話し合いのきっかけになり、死生観を共有できる
リビングウィルのデメリットと注意点
- 法的拘束力がないため、医療機関が必ずしも従うとは限らない
- 作成時の状況と、実際の状況が異なる場合に内容が合わなくなることがある
- 家族や医療チームに存在を知らせなければ、発見されないまま終わる可能性がある
- 内容が古くなるため、定期的な見直しが必要
リビングウィルは「作って終わり」ではありません。定期的に内容を確認し、状況の変化に応じて更新することが大切です。また、文書の存在を信頼できる家族や主治医に必ず伝えておくことが、実際に機能させるための最重要事項です。
作成にかかる費用と時期
リビングウィルの作成に、特別な費用はかかりません。紙とペンがあれば自分で作成できます。日本尊厳死協会に入会して書式を利用する場合は、年会費(数千円程度)が発生しますが、必須ではありません。
作成する時期に制限はありませんが、判断能力がある「元気なうち」に作成することが前提です。病気が重くなってからでは、本人の意思が十分に反映されない可能性があります。50代〜60代での作成が増えており、年齢を問わず早めに検討することが推奨されています。
関連する用語
リビングウィルと合わせて知っておきたい用語として、医療・介護の希望に加えて葬儀や財産に関する希望も書き残せる「エンディングノート」、財産の分配について法的効力を持つ「遺言」、判断能力が低下したときに備える成年後見制度、そして死後の手続きを第三者に委ねる死後事務委任などがあります。これらを組み合わせることで、自分の意思をより幅広く反映した終活が実現します。
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