目次
この記事のポイント
- 和讃とは、仏教の教えや仏・菩薩の徳を日本語で詠んだ讃歌であり、葬儀や法要で僧侶が読誦する重要な式の一部である。
- 和讃は宗派によって内容や種類が異なり、浄土宗・浄土真宗・天台宗などで広く用いられている。
- 参列者が和讃の意味を知っておくと、葬儀や法要をより深く理解し、故人への弔いの気持ちを高めることができる。
和讃の意味と役割
和讃が生まれた背景
仏教がインドから中国を経て日本に伝わった当初、お経や讃歌は漢文や梵語で書かれていた。一般の人々にはその意味を理解することが難しく、信仰の場で疎外感を抱く場合もあった。 そこで平安・鎌倉時代の高僧たちが、日本語で仏の徳や教えを詠んだ和讃を作り始めた。日本語で綴ることで、より多くの人が仏教の教えに親しめるようにしたのである。 現在でも和讃は葬儀・法要の式次第に組み込まれており、故人を送り出す場を荘厳に整える大切な要素となっている。葬儀・法要における和讃の位置づけ
葬儀の式中、僧侶はお経(読経)とともに和讃を読誦する。読経が仏への祈りや功徳の回向を主な目的とするのに対し、和讃は仏・菩薩の功徳や浄土の様子を讃える意味合いが強い。 参列者が耳にする節回しのある読み上げの一部が、和讃にあたることが多い。七五調の日本語で詠まれるため、お経よりも言葉の意味を感じ取りやすい。宗派ごとの代表的な和讃
浄土真宗の和讃
浄土真宗の宗祖・親鸞聖人は、「浄土和讃」「高僧和讃」「正像末和讃」の三種の和讃を著した。これらをまとめて「三帖和讃(さんじょうわさん)」と呼び、浄土真宗の法要では現在も広く用いられている。 阿弥陀如来の慈悲や浄土の荘厳さ、インド・中国・日本の高僧の徳を日本語で詠んでおり、浄土真宗の信仰の根幹を表す内容である。浄土宗・天台宗の和讃
浄土宗では、法然上人ゆかりの和讃が用いられる。天台宗では最澄ゆかりの和讃や、さまざまな仏・菩薩を讃える和讃が法要の場で読誦される。 宗派によって使われる和讃の種類や読み方、節回しは異なるため、同じ「和讃」という言葉でも、宗派が違えば内容はまったく別物になる。回向文・御文章との違い
葬儀の場では、和讃のほかに「回向文(えこうもん)」や「御文章(おふみ)」など、さまざまな読誦物が登場する。回向文は故人へ功徳を回し向けるための文であり、御文章は浄土真宗の蓮如上人が記した消息文である。 これらはそれぞれ目的と内容が異なるが、いずれも式を構成する大切な要素である。和讃はその中でも「仏・菩薩の徳をたたえる」という点が最大の特徴といえる。和讃に関する注意点と参列者としての心構え
参列者が知っておくべきこと
参列者が和讃を一緒に唱える場面は、浄土真宗の法要では比較的多い。檀家として日頃から寺院に親しんでいる場合は、経本が配られることもある。 初めて参列する場合は、無理に唱えようとせず、静かに聴くだけで問題ない。大切なのは故人への敬意を持って式に臨む姿勢である。お布施との関係
葬儀や法要で僧侶が読経・和讃を行うことに対し、お布施をお渡しする。和讃のみに対して個別に費用がかかるわけではなく、読経・和讃・法話などを含む僧侶の行為全体に対するお礼として包む形が一般的である。 お布施の金額は地域や宗派、寺院との関係性によって異なるため、不明な場合は寺院に直接確認することが望ましい。和讃の音源・テキストの活用
近年は、仏教系出版社や寺院のウェブサイトが和讃の音源やテキストを公開している場合がある。事前に内容を確認しておくと、葬儀や法要の場でより意味を受け取りやすくなる。 ただし、宗派・寺院によって用いる版が異なることがあるため、自分の菩提寺や菩提寺に確認するのが確実である。関連する用語
和讃と関連の深い用語として、まず「導師」が挙げられる。導師とは葬儀や法要で読経・和讃を主導する中心的な僧侶のことである。また、故人を弔う儀式全体を指す「法事」や、故人の冥福を祈る「追善供養」とも深く結びついている。和讃が読まれる「祭壇」の前で行われる焼香とあわせて、葬儀の式次第を構成する重要な要素として理解しておきたい。RELATED
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