この記事のポイント
- 死亡診断書は、人が亡くなったことを医師が公式に証明する法的書類であり、葬儀・各種手続きの起点となる重要書類である。
- 死亡診断書は死亡届とセットになっており、死亡後7日以内に市区町村役場へ提出する義務がある。
- 提出前にコピーを複数枚取っておくことが、その後の諸手続きをスムーズに進めるうえで不可欠である。
死亡診断書(しぼうしんだんしょ)とは、人が死亡したことを医師または歯科医師が医学的に確認し、死亡の事実・日時・場所・原因などを記載して公式に証明する法定書類のことである。この書類は、死亡届の右半分に印刷された一体型の用紙として交付され、葬儀の手配から各種行政手続きまで、あらゆる手続きの根拠となる出発点といえる。
死亡診断書の詳しい解説
死亡診断書が必要な理由
日本では、人が亡くなった場合、国や自治体が正確な死亡の事実を把握する必要がある。死亡診断書は、その事実を医師という専門家が証明するための公的書類である。
この書類がなければ、火葬の許可を得ることができない。葬儀会社も火葬場も、死亡診断書にもとづいて発行される「火葬許可証」がなければ、火葬を執り行うことができない仕組みになっている。
誰が作成し、どこで受け取るか
死亡診断書は、死亡を確認した医師が作成する。作成できる医師は、原則として「死亡前24時間以内に診察を行っていた医師」に限られる。
受け取る場所は、亡くなった状況によって異なる。主なケースは以下のとおりである。
- 病院で亡くなった場合:担当医が作成し、病院の窓口で受け取る
- 自宅で亡くなった場合:かかりつけ医が駆けつけて作成する
- かかりつけ医がいない場合や突然死の場合:警察が関与し、後述の「死体検案書」が発行される
死亡診断書と死体検案書の違い
よく混同されるが、「死亡診断書」と「死体検案書(したいけんあんしょ)」は、法的に異なる書類である。死亡診断書は、生前に診療していた医師が作成するものである。
一方、死体検案書は、診療関係のなかった医師(主に監察医や嘱託医)が、死因を調べたうえで作成する書類である。交通事故・孤独死・自死など、死因が不明または不自然な場合に発行される。
手続き上は、どちらも同じ役割を果たすため、遺族が過度に区別を意識する必要はない。ただし、死体検案書の場合は警察による検視が入ることがあり、書類の受け取りまでに時間がかかる場合がある。
死亡届の提出と流れ
死亡診断書は、死亡届と一体の用紙になっている。遺族が死亡届の左側に必要事項を記入し、死亡診断書(右側)とセットで市区町村役場に提出する。
提出期限は、死亡の事実を知った日から7日以内(国外で亡くなった場合は3か月以内)と法律で定められている。提出先は、以下のいずれかの市区町村役場である。
- 亡くなった人の本籍地
- 亡くなった場所
- 届出人の現住所地
提出後、役場から「火葬許可証」が交付される。これを火葬場に持参することで、火葬が許可される。
費用・コピーの保管に関する注意点
死亡診断書の発行費用
死亡診断書の発行には、医療機関ごとに費用が発生する。費用の目安は3,000円〜10,000円程度であり、医療機関によって異なる。健康保険は適用されないため、全額自己負担となる。
再発行が必要になった場合も、同額程度の費用がかかる。紛失のリスクを考慮し、受け取ったその場でコピーを複数枚取っておくことを強く推奨する。
コピーが必要な場面
死亡診断書(またはそのコピー)は、葬儀後のさまざまな手続きで繰り返し必要になる。提出が求められる主な場面は以下のとおりである。
役場への原本提出後は原本を返却してもらえないため、提出前に最低でも5〜10枚のコピーを取っておくことが実務上の鉄則である。
再発行の方法
死亡診断書の原本を紛失した場合、発行した医療機関に再発行を依頼する必要がある。ただし、医療機関によっては再発行に応じない場合もある。
その場合は、市区町村役場で「死亡届受理証明書」を取得することで代替できる手続きも存在する。事前に各機関に確認することが重要である。
関連する用語
死亡診断書と深く関わる用語として、安置(ご遺体を一時的に安全な場所に保管すること)や、出棺(火葬場へ向けてご遺体を搬出すること)が挙げられる。また、死亡後に必要となる遺品整理や相続放棄など、その後の手続き全般と連動して理解しておくことで、亡くなった後の流れをスムーズに把握できる。

